先に触れた開け放たれたオフィススペースの頭上は一部を除き、殆どが吹抜けになっている。オフィスを左手に見下ろしながら2階の会議スペースに上がる。階段に沿って大きなグリッド状の本棚が聳え立つ。下部は実用的に設計図書やカタログ・資料が並べられるが、上部の階段横はディスプレイがメインである。筆者がこの仕事をしていて、常に一番難しいと考える課題はまさにこの「ディスプレイ」である。季節感・社風・イベント等に合わせ陳列する事で、その人の持つセンスや感覚が如実に表現されてしまう「怖さ」が付きまとうからだ。よってここのディスプレイは…また筆者が何か提案するとしよう。(笑)
本棚を横目に階段を上がりきった場所は、スタッフや出入り業者達の会議スペースになっている。一際目を引くのは天井から吊るされたオリジナルのシャンデリアだ。エントランス横の、ディスプレイ棚の上に付いているブラケットと同じ作家による製作照明である。メカニックな印象で建築とのリンクを感じさせ、ここに展示して以来問合せや発注が増えたとの事。
会議スペースのテーブルは図面や資料を自由に拡げられ、大人数が広々と座れるよう、白いプレーンな大テーブルが2台連ねられている。テーブルがシンプルで無機質な為、チェアは全て同じ形だが木目のテクスチャが表れたグレーとダークブラウンの2色を提案した。1階オフィススペースから見上げた時のバラツキ感により、緊張感や堅いイメージを和らげる狙いを持った。
逆にこの会議スペースから見下ろす風景もまた、設計事務所やデザインオフィスといった情緒を味わえるような気がする。
トイレスペースもまたここの特徴的な場所で、ドアやサインはもちろん、手洗い器や水栓金具、ペーパーホルダー等は作家のハンドメイドにこだわり、より落ち着き・温かみのある空間に仕上がっている。都合により写真は撮れなかったが、女子トイレの壁面にはキッズスペースで活躍の作家による小さなイラストが散りばめられてる。
工務店らしからぬきめ細かい仕掛けや、エンターテインメント性を紹介してきたが、これまではまだほんの一部に過ぎない。機会が有ればまた、その他について話していきたいと思う。
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