FARMER’S KITCHEN THE gram(2)

実際自分達が通されたのは一番奥に配された4人席が6ブースの客席。ここで座る事ができたので、やっと周りの様子を見渡せた。流行りの店で、しかも夜ということもあり、若い客層が多いのかと思っていたが、以外に50〜60代らしき女性が割と目立っていたのが印象的だった。

やはり「FARMER’S KITCHEN」という雰囲気には似付かわしくない名前の由来である、オーガニックな食材を使った料理が魅力的だからだろう。今回は当然だが、全てのメニューを注文は出来なかったが、食べた料理に使われている食材、特に野菜が美味い。サラダに使われたレタスの葉の柔らかさやタマネギの甘さ、ほんのり感じる程度に抑えたドレッシング(好みに合わせて調整出来る様に別添される)など、野菜料理にこだわりを感じた。これが幅広い女性客層にウケているのであろう。

料理の味はもちろん噂になるだけのことはあるのだが、先に書いた様に建築・インテリアも徹底的にそのスタイルを貫いていた。店舗・施設用に用意された某商社メーカーのテーブル・チェア・ソファ等は見当たらない印象だった。もっとも「カッコいいな」「キレイな空間だな」と感心している側から、チェアのお尻のあたりのラベルなんかが見えてしまうと、少なからず興ざめしてしまうものだ。店内を薄暗く、全てのテイストを上手くまとめているからこそ、それらが気にならないだけかも知れないが。

客席としては更に外部にテラス席があり、こちらも面積的にはかなりの人数が収容出来そうであったが、これからの季節柄好んで座る客はなかなか居ないのかも知れない。ただ屋外暖房器具が充実しており、寒さ対策は十分にされている様である。同じ客が2〜3時間長居していたのはその証拠であろう。
全体を通してかなり作り込まれた空間演出で、そこに来る人達のステータスにもなり得るような満足感があった。一つだけ残念だったのはエントランス回りで販売されているパンを照らすLED照明が、薄暗い空間に対して明る過ぎ、光源が直接視界に入る為、商品の見分けが付かなかった事。什器も専用に作っているからには、ここにも気を使って欲しかった。

 

この仕事をしていると、飲食店に行けば空間をつまみに食事をしている。暇があれば壁を触ってみたり、床を鳴らしてみたり、テーブルやカウンターの裏側を覗き込んでみたり、用を足すでもなくトイレに行ったり、…側から見ればなかなかの挙動不審者に間違いないだろうと自覚している。

 

 

ライター:北澤武宏について

https://creators.view.cafe/takehiro_kitazawa/

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